「ロゴ」とはその会社のイメージや「こうありたい」という姿を具現化しています。文字だけのもの、複雑な模様になっているものと、形式は様々ですが、ロゴを通して、その会社のブランドを市場に認知してほしいという思いは共通しています。
ロゴを制定している会社は珍しくありません。それどころか、複数のロゴを制定して使い分けている会社さえあります。複数のロゴを使うメリットを考えます。
ロゴに込められた思い
会社のロゴにはその会社のブランドと社会に対するメッセージが込められています。例えば、インターネットの機器で世界的に有名なアメリカのCiscoのロゴには上部に点線模様のデザインがあります。これは電波を表すと同時に同社が本拠を置くサンフランシスコのゴールデンゲートブリッジを表わしているそうです。
サンフランシスコからインターネットで世界を席巻したいという強い意志が感じられます。また、ネットショッピングサイト最大手のAmazonはアルファベットの社名の下部にaからzまで黄色い矢印が描かれています。
aからzまで、そう、何でもそろう総合ショッピングサイトでありたいという同社の強い思いが感じられます。また、見る角度を変えると、笑顔にも見えますので、顧客にショッピングを通じて笑顔を届けたいという意気込みとも解釈できます。
また、IT企業のアップルのロゴはリンゴがモチーフです。コンピュータを一部の専門家だけでなく、世間一般の人でも容易に使えるなじみのあるものにしたいという思いを伝えています。リンゴの半分がかじられているようなデザインになっているのはリンゴである旨を認知してもらうためにあえてそうしています。
また、ファーストフードのマクドナルドのロゴはアルファベットの「M」に似せた形状です。一見すると、会社名の頭文字が由来と思われそうですが、アメリカイリノイ州にある同社の1号店に設置されていた2つのゴールデンアーチが由来です。
シンプルなデザインにも深い意味があります。
ロゴを公式なものにする方法
会社の「ロゴ」がその会社の姿を現しているとするならば、他社と差別化できて、第三者に無断で使われることのないようにする必要があります。そのためには商標登録が必要です。商標登録があると、第三者がそれを無断転用することはできなくなりますが、商標登録をしていないと、第三者がそれを自己の名で登録して、自身のビジネスで使えなくなることも起こります。
ロゴの商標登録は速やかに行うのが鉄則です。商標登録は弁理士に依頼して行うこともできますが、自分で申請することもできます。まず、登録したい商標がすでに登録されていないか、特許庁のサイトでチェックします。類似した名称が出てきた場合、出願しても通らないことがあります。
ただし、ジャンル(区分と呼びます)が異なると出願可能なので、詳細情報を確認します。続いて、自分が申請したいロゴがどの区分になるのか、検討します。同業他社のロゴ登録の実態や当該ロゴで扱っている商品やサービスから申請する際の区分を決めます。
次に特許庁のサイトから出願書類をダウンロードします。一通り記載すべき内容を確認して、記入します。不明な点があれば、特許庁に電話を入れて、確認するのも一案です。最後は願書の提出です。郵送、持参とも受け付けてもらえます。
出願する際には特許印紙の貼付が必要な場合もあります。郵便局、特許庁で入手できます。尚、商標登録の有効期間は10年です。有効期限が切れる6か月前から更新できます。
シンボルマークを制定している例
ロゴと類似したものにシンボルマークがあります。シンボルマークとは会社や団体を象徴するものであり、様々なものがリリースされています。ロゴとシンボルマークを使い分けている例として、商標登録を扱っている特許庁が挙げられます。
2010年(平成22年)に制定されました。特許庁の英文名称にちなんだデザインです。また、特許庁では産業財産権制度のシンボルマークも1995年(平成7年)に制定されています。
産業財産権制度を国民の間で定着させたいという意味が込められています。
会社で複数のロゴを使い分ける例
会社で複数のロゴを使い分ける事例として、キャンペーンや会社創立の節目(50周年、100周年など)に特別なロゴを制定するケースがあります。
例えば、全日空(ANA)は冬の旅行キャンペーン時に北海道や沖縄への旅行商品をアピールするための特別なロゴを制定しました。キャンペーンロゴは対象となる商品やサービスを明確に表し、訴求効果を追求したものが数多く発表されています。
周年ロゴではJTBの100周年記念ロゴがあります。誕生日プレゼントの箱のようなものに100周年を象徴するマークをあしらい、記念事業や記念商品に使っていました。
複数ロゴのメリット
IT企業のサイボウズはロゴを複数所有しています。キャンペーンや周年行事と関係なく、会社の実態に応じて、複数のロゴを制定すべく、インターネット上でコンペを実施して、ロゴを決めることになりました。まったく異なるデザインのロゴを制定することで、様々なニーズに応えられる間口を整えてきました。
複数のロゴがあると、その商品やサービスによりふさわしいものを選択可能になります。同社ではエンタープライズ市場、グローバル市場、国内市場の3つを運営しており、それぞれに対して、ロゴを設定しました。
ロゴを制作するには
ロゴを制作する方法として、デザイン会社に発注する、クラウドサービスを利用してコンペを行って、気に入ったものを採用するという方法が挙げられます。デザイン会社に発注すると、高額な費用が発生する傾向があります。
ただし、費用に見合った品質のものが提供されますし、提供されたものに対する権利関係でもめることはまずありません。一方、クラウドサービスでコンペを実施した場合、費用はある程度抑えられますが、品質はその時コンペに参加したクリエータのスキルによってまちまちです。
無料でロゴが作成できるサイトもありますので、スキルのある社員がいる場合は自前で作るという選択も可能です。
ロゴに関するまとめ
会社のロゴにはその会社のアイデンティティが詰まっています。会社を象徴するロゴだけでなく、周年記念やキャンペーン商品向けのロゴもあります。ロゴを通じて、その会社が展開しているサービスや商品を知ってもらうきっかけになることもあります。
ロゴは宣伝媒体としての役割だけでなく、営業機能も兼ね備えています。ロゴを作ったら速やかに特許庁へ出願するようにしましょう。